blue
魚喃キリコの漫画にハマりました。
『南瓜とマヨネーズ』が良くて、次は『Strawberry shortcakes』を買おうと思っていたら書店に無くて、代わりに『blue』を買いました。
描画と言葉が併せて一つの絵みたい。
少女の頃の、相手を細部(まぶたのかたち、歯の並び方、髪の流れなど)まで好きになる感覚を思い出しました。
欲情じゃなくて、透明なあこがれ。
『南瓜とマヨネーズ』もそうだけど、話はある意味しょうもないんですよね。
でも、そのしょうもなさがふしぎときれい。
次は、『Strawberry shortcakes』か『痛々しいラヴ』読んでみます。
立原道造の詩集を買ってくれた昔の恋人に、漫画をプレゼントしようかなと思っています。
昔、これを買ってもらった。
ずっと前から名前を知っていたので、南Q太の『さよならみどりちゃん』も買ってみました。
えぐい漫画ですね。
『グッドナイト』は精神をやられそうな気がするので、あと完結していないので、
手を出せない。
『天井の下』とか『夢の温度』は買ってみようかなと。
好きな漫画って、好きな小説より出会えないので、うれしいです。
岡崎京子にはハマらなかったのですが、
魚喃キリコや南Q太の漫画に描かれている自分が何をしているのかわからない感じは
すごいしっくりきました。
雌としてだけ生きられるわけじゃなくて、手の届かない何かに惹かれて傷ついて、でもそれでぼろぼろになってしまうというよりはどこかでふてぶてしく生き続けられる女。
人生を自分探しやデトックスで操縦していくんじゃなくて、
瞬間瞬間の皮膚感覚で得たり失ったりしていきたい、そういうことを楽しめる人間になりたいと思いました。
こういう漫画をもっと読みたいな。
勝手にしやがれ
昨日、早稲田松竹で映画を観ました。
『勝手にしやがれ』
最初、あんまり好きじゃないかも…と思ったのですが、
ミシェルとパトリシアのやり取り、会話、仕草、表情…などがとても良かった。
男と女の噛み合わなさ、二人でいることのよろこびと不自由、愛のおそれを感じさせる映画でした。
わからないの。自由じゃないから不幸せなのか、不幸せだから自由じゃないのか。
悲しみと虚無どちらを選ぶ?(―俺は虚無だ。悲しみを選ぶなんて馬鹿だ。)
ねえ、優しいことを言って。
外見が良い女はいるが、君みたいに個性的で、20点中15点というような風情で、心がピタッとくる女はいない。
あなたに愛されたい。でも、もう愛してほしくない。
お前は馬鹿だ。愛している男と寝ない理由を、もうほかの男と寝てしまったからだと言う。
まだまだ印象深いセリフがたくさんあります。
(記憶のままに書いているので、細かいところだいぶ間違っているかと思います…)
パトリシアというキャラクターが、とても愛おしいです。
『気狂いピエロ』のマリアンヌとは、まったく違った魅力。
言われたことにむっとし、くよくよし、一人で考えに耽るパトリシアの女性的な内面は、少年らしい外見と対照的でかわいい。
ベリーショートに何度もブラシをあてるところや、鏡の前でこっそり顔をつくってみるところもチャーミングです。
ジャン=ポール・ベルモンドはかっこよくないのに、なぜあんなにかっこいいのでしょう。
ミシェルは本当に純粋で、勝手で、こわい男です。
ジャン=リュック・ゴダール×ジャン=ポール・ベルモンド!映画『勝手にしやがれ』予告編
ホリー・ガーデン
今日は火曜日だけど仕事が休みで、本を読んだり、喫茶店に入ったり、靴を見て過ごしました。
気楽な日。
読んだ本は、今日初めて入った本屋で、適当に買った江國香織著『ホリー・ガーデン』。
『ホリー・ガーデン』良かったなぁ。
江國香織の小説は大人になってからのほうが好きです。
食わず嫌いをしていた時期があるので、読んでいない本がまだまだたくさんあるのです。
恋愛と、恋愛と思っているものにまつわる感情の、淡いきょうふ。すごく気持ちがいいものでもあるのですか。
締まりきっていない蛇口から滴る水をぼんやりと眺めているような感じに近いです。
蛇口を締めなくてもいいんだなと思えるあんしんとおそろしさ。
果歩は自分の世界にひとり溺れていってしまうような女性なのですが、中野君がそういう果歩の精神性みたいなものに惹かれているわけではなく、早く自分が結婚してやらないと象足さんみたいになっちゃうからなと思っているような無邪気な残酷性をもっているところ、こういうのをさらっと書けるのがすごいなと思います。
自分が思っている自分と、他人の目から見る自分は違う。
当たり前のことなのですが、そういうことが描かれている小説は小説らしいなと。
読んでいる瞬間が気持ちいいので、もっとゆっくり読みたかったけど、一気に読んでしまいました。
そして、作中に出てくる尾形亀之助の詩にも興味がわきました。
あと、一昨日はイアン・マキューアンの『アムステルダム』を読みました。
作曲家と編集長が関係がこじれていない頃に、自分が本当に苦しむ前に殺してくれとお互いに頼んで、その後関係性は決定的に変わっても、結果的に約束をお互いに果たすことになる物語の構成など、すごいなぁ。
現代人にとっての本当の苦しみは、恥辱ですね。
『贖罪』を読んだ時も思ったけど、恥辱に陥ることの絶望を書くのがうまい作家です。
戯画化されたストーリーですが、面白かった。
あと、冒頭で亡くなってしまったことがわかるモリーは男たちの記憶の中だけのミューズなのですが、外務大臣の写真の描写からそれをうつした彼女の魅力が伝わるような、ああいう書き方はいいなと思います。
今はフォークナーの『八月の光』を読んでいます。
思っていたより読みやすいし、今のところ面白い…!
まだ本当に最初のところなんだけど、期待にドキドキしてしまう感じです。